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『トリゴラス』(今月のおまけ)
長谷川集平/作  文研出版

長谷川集平は、1976年、美術学校在学中、すばる書房主催の「創作えほん新人賞」において『はせがわくんきらいや』で鮮烈にデビューし、一躍脚光をあびることとなるのですが、『トリゴラス』は、その長谷川集平の3作目にあたります。

この絵本に描かれているのは、少年の初恋の物語です。しかし、少年の淡い恋心は、評論家・家森神一によって表現されたように、鬱屈した凶暴にして性的な想像力に彩られているのです。少年の住むあまりにも日本的なアパートと、少女(かおるちゃん)の住むマンション、少女の大人びた姿態と不安げな少年の幼い表情、それらの間のあまりにも大きな落差は、少年の届かぬ思いの大きさに比例して描かれています。そして、そのギャップを埋めるべく、怪獣トリゴラスが破壊のかぎりを尽くします。

トリゴラスの描かれているページは怪獣映画を彷彿させます。特にトリゴラスがかおるちゃんをさらう場面は、キングコングのワンシーンと酷似していますが、それらの映画的手法は、映画のポスターを暗示させるかのように描かれている表紙に作者の意図が汲み取れます。

長谷川集平の絵本の多くは残念ながら絶版となっていますが、長谷川集平自身は、現在九州の天草に移り、作家として、またミュージシャンとして活躍を続けています。隠れキリシタンの教義『こんちりさんのりやく』を復刻したというニュースなども最近聞かれています。また、ホームページを開いてさまざまな情報も発信していますので、興味のある方は是非のぞいてみて下さい。(T.S)

(URL)http://www.cojicoji.com/shuhei/index.shtml

トリゴラス


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