(社)横浜市幼稚園協会

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絵本の散歩道(絵本紹介のページ)

NO.14『まよなかのだいどころ
     モーリス・センダック/作  神宮輝夫/訳  冨山房


 『かいじゅうたちのいるところ』が世界中で大絶賛を得たことに反して、同じセンダック3部作の2冊目にあたるこの『まよなかのだいどころ』には、ちょっと手厳しい批評が聞かれます。日本の著名な評論家の中にも、「センダックは、この作品においてはまるで失敗をしている」などとはっきり酷評している人もいるくらいです。具体的な批判の内容は、絵がマンガ的で、お話がドタバタ調になっている、というようなことが多いのですが、この点を評して、「センダックの全作品の中で一番楽しい1冊の絵本」と言う人もいますので、まず読んでみて、それぞれが感じれば良いのだろうと思います。

 センダックは3部作を通して、自分自身の心を遡り、その中で、子どもたちの憤りや不満、恐れ、勇気などに共感を示しています。『まよなかのだいどころ』が生まれた背景については、いろいろと語られていますが、その一つとして、センダック自身、「知りたいことがたくさんあるのに、何で子どもは夜寝なければならないんだ」という、子どもの時の悔しい気持ちを、この絵本を作ることによって復讐しているんだと言っています。そういえば、この本の絵の中に描かれているおびただしい商標なども、まさに、「もう僕は何でも知っているんだ」という表現なのでしょうか。

 この絵本が自分なりに分かり始めたきっかけは、知人から、始めのページの背景に書かれている「ドーン」、「ドサン、ズン、パン」は何の音だか分かるか、と聞かれたことがきっかけでした。「子どもが寝なければならない夜の間に、大人たちは、どんな秘密を隠しているのだろう」そんなセンダックの疑問を背負って、主人公のミッキーは、この音に続いて落ちていきます。この絵本が楽しいと感じられるかどうかは、理屈はちょっと横に置き、ミッキーと一緒に絵本の中に落ちていけるかどうかなのかも知れません。(S.T)

まよなかのだいどころ


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