
NO.42『おこりんぼママ』
ユッタ・バウアー/作 小森香折/訳 小学館 |
「きょう、ママが、ものすごくどなった。あんまりすごくどなるもんだから、ぼくは、バラバラになってとんでいちゃった」
そして、ぼくはバラバラになった、あたま・おなか・くちばし・おしりを探しに行くが、自分ではなかなか見つけることができない。そんな時・・・・・と、話は進んでいきます。
子どもが、母親におこられる理由はいろいろあると思いますが、どうしても母親はいつもおこっている。そんな立場なのかも知れません。この絵本は、そんな母親の自己嫌悪を少しばかり軽くしてくれます。また、おこることは愛情があるからこそと、母親のつらい胸の内を弁明してくれているようにも思います。誰でもおこられたり、叱られたりするのは嫌だけど、このようなユーモアがある絵本を見ると、それもまた楽しいかなと思うのではないでしょうか?作者のユッタ・バウアーは、1955年ドイツのハンブルグに生まれています。子どもの本を多く描き、いくつかの賞を受けています。文章も然る事ながら絵もとてもユーモラスに描かれていて、母親と子どもの心の内面の描写がなんともいえず胸の奥に余韻を残します。母親ペンギンと子どもペンギンの気持ちがわかる気がするのは、私自身心ならずも日頃幼稚園で子どもを叱ってしまうことがあるからでしょうか?
「『ごめんね』ってママがいった。そして、ぼくをだきしめた。」誰でも経験している心情でしょう。そして、子どもペンギンが「やっぱりママがいちばんさ」と言うひとことで絵本は終わります。愛されている子どもなら誰でも思う気持ちなのではないでしょうか?私にとっては。理想的とも思える親子関係が嬉しく感じられる絵本です。(ぽ) |
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おこりんぼママ |
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