すみれ・やまぶき・ちごゆりの花々が咲き乱れ、水は温み、とのさまがえるが跳ねる。生命の息吹が里山を覆います。はるのうららかな天気に誘われ14匹のねずみの家族も今日はピクニックに出かけます。森をぬけ野原を走り、小川をわたり、たんぽぽの原でお弁当。にぎやかで楽しい家族の1日が描かれています。
この絵本は、『14ひきのシリーズ』の一冊ですが、10冊から構成されている絵本は全て文字が少なく絵がページ一杯に広がっています。どの絵本も日本の美しい四季折々の自然の情景や自然のめぐみに感謝し、ひたむきに生きる姿が14ひきのねずみの家族を中心にこまやかに描かれています。
触るだけで熱い湯が出、夏も冬も部屋は同じ温度、通信手段はもっぱら携帯メール、お尻もきれいに洗ってくれたりする便利なトイレ。ささくれ、しもやけの手ともお別れ。確かに快適で清潔な世の中になったけれど、何か大切なものを置き忘れてきたように思ったりもします。そんな時、この絵本を開くと自然と心が和んできます。
子どものみならず大人にも十分楽しめる絵本です。(H・S)
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