私は以前、自分が不思議に思っていた事柄を集めた事典を作ろうと考えていました。自分の子どもが、私と同じように不思議だと思った時に、そんな事典があればきっと喜ぶだろうと思っていたからです。そして、その中には当然「どうして空は青いのか?」という項目も含まれるはずでした。しかし、実際に家庭を持ち、子どもができたりするうちに、そんなことはすっかり忘れてしまって、子どもも20歳を過ぎてしまいました。
今でもそんな『不思議事典』を作ってみようという気持ちが全くなくなってしまったわけではありません。でも今度は子どものためではなく、あくまでも自分自身の楽しみのためにと思います。この歳になって、子どものためとか、教えてあげるといった姿勢は、往々にして子どもにとってはいい迷惑だということが多少わかってきたのかもしれません。
この絵本は、歳をとった物知りのロバと好奇心満点のウサギとの楽しい掛け合いを通して、大人と子どもの関係を見事に描き出していますが、子ウサギは「どうして空は青いのか?」の答を知ることができるのでしょうか。
私は「教える」とか「知る」といったことが話題になった時、いつも1960年代後半に活躍したCREEDENCE
CLEARWATER REVIVALの『SOMEDAY NEVER COMES』という曲を思い出してしまいます。ここで、冒頭だけご紹介しますが、「First
thing I remember was askin’ Papa “Why?” For there were many things I
did’t know. And Dady always smiled took me by the hand Sayin’ “Someday
you’ll understand”」
そして、私の『不思議事典』が完成する日も『SOMEDAY NEVER COMES』なのでしょうか?(S.T)
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