私は特別理屈っぽい人間でも偏屈な人間でもありませんが、占いなんてこれっぱかしも信じていません。血液型で性格を判断することだってナンセンスだと思っています。勿論干支でどうこういうことも然りです。そんな私でも、小さい頃から「兎年生まれはだらしがないのよ。あなたは１０月生まれだから丸まる兎年でしょ、だからとっても心配」と母親から言われ続けてきた言葉だけは、どうも心に引っ掛かっているのです。ちなみに母親も兎年なのですが、２月生まれなので、あなたとは違うとのことでしたが・・・

今月紹介した他の絵本でもウサギが登場していますが、どちらのウサギもその調子のいいことといったら、母親の言っていた言葉もまんざら嘘ではないような気がしてきます。得にこの絵本に出てくるウサギは、だらしがないというよりも、考えなしで強引で、でもそんな楽しさが、エリック・ローマンの版画から、動物達の躍動感としてひしひしと伝わってきます。また、今江祥智の名訳が、絵の楽しさを倍増させ、兎年生まれ推薦の絵本なのです。

「まったくもうーウサギさんときたら　いつだって　はなうたまじり。」この最初の一文だけでも結構楽しくなってきませんか。（S.T）