「これは、さるの じょうじです。・・・ただ、こまったことに、とても しりたがりやで、ひとまねがだいすきでした。」
このおきまりの言葉が始まると子ども達はとたんに、にこにこ。好奇心いっぱいで、次から次へと失敗をくりかえしていく主人公のじょうじの行動に、爆笑したり、共感したり。
ページをめくるたびに、次はどんなお話になっていくのかな?とわくわくしながら、なぜか最後はとっても楽しい方向に向かって解決していくことも、安心感や満足感につながっていくのでしょう。
シリーズは、25年間に7作出ていまが、どの作品からも明るく楽しい印象を受け、、第1作目の『ひとまねこざるときいろいぼうし』(1941年)から読むと、ジョージがどうしてアフリカから連れてこられたかがわかります。そして今回は、シリーズ最後になった7作目の『ひとまねこざる びょういんへいく』(1966年)を紹介したいと思います。
お話は、じょうじがパズルのコマを飲み込んでしまうことから大騒動が始まります。お腹の痛いじょうじは入院することになりますが、病院にある真新しいものに興味を示したり、入院している子ども達とも少しずつ親しくなっていきます。ちょっと元気を取り戻したじょうじは、調子に乗って大失敗をしてしまう・・・というストーリーです。
この絵本では、じょうじが失敗をして落ち込んでいるときに、周りの大人が、温かく大らかに見守っているところが特に素敵だなと感じます。
シリーズは、レイ夫妻による共同製作で、長い間子ども達の人気を得ていますが、ハンス・アウグスト・レイさんは、「私には子どもが何を好きなのかわかっているつもりです。自分が子どもの頃、何が好きであったかを知っているので、子どもの頃好きにならなかったような本は作らないのです。」と語っています。
どの本も、子どもの中にある好奇心や、いろんなことをやってみたくなる気持ちを実によくつかんでいるなあと思います。(k,s)
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