ずっとむかし、色のない時代がありました。 その時を灰色の時といいました。ほとんどが灰色、さもなければ、黒か白の世界・・・。
その頃、魔法使いもいて、その世界を眺めながら「世の中なにかまちがっとる・・」と言うと、灰色の地下室にいき、魔法の薬をこれをちょっぴり、あれをちょっぴりかき混ぜながら呪文を唱えました。するとつぼの底に妙なものができました。「うん、これはおもしろそうだ、もっとたくさんつくってみよう」魔法使いは、できたものに「青色」と名前をつけました。
こうして色のある世界が始まりました。でも、青色の世界はそんなに良くはなかったのです。やがて青色のためにみんな、なんだか悲しい気持ちになり始めました。子ども達は遊びもしないで、青色の庭でむっつりしています。「だれもわらわなくなってしまった」、そこで魔法使いは、また魔法の薬を混ぜ始めるのです・・・。
作者アーノルド・ローベルは、人の気持ちを青・黄・赤の三原色と結び付け、素敵なお話を作り上げています。繰り返しの言葉が多く、リズミカルなので、長い文章も苦にならずに読んでいけます。
幼稚園では本を読んだ数日後、子ども達が「いろいろへんないろのはじまり」と言いながら、色水を混ぜ合わせて「きみどりになった」「オレンジジュースだ」と色水遊びを楽しんでいました。
ファンタジーの世界で遊ぶだけでなく、絵本をきっかけに実体験を通していろいろな発見につながっていくことのできる本です。
はな
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