人ならばおそらく誰でも鳥のように自由に空を飛びたいと願っているのではないかと思いますが、他の生き物たちはどうなのでしょうか。
うさぎであれば、長い耳を羽のように動かし、ねずみやりすであれば、長いしっぽをプロペラのように旋回させながら飛ぶのでしょうか。ウィーズナーは、うさぎやねずみたちよりも、もっと空とは無縁そうな生き物たちの思いを素敵な絵本に仕立てています。
でも、なぜ「かようび」なのでしょうか。ウィーズナーは、愉快な宇宙人の登場する『1999年6月29日』という絵本を描いていますが、この日も「かようび」あたります。これも偶然なのでしょうか、それとも「かようび」というのは、ウィーズナーにとって何か深い意味があるのでしょうか。
旧約聖書・創世記には、第2の日に「神は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた」とありますが、飛ぶことと大空との関係からきているのでしょうか。
中とびらに描かれたハスの花の美しさからは何とも宗教的な印象が漂ってきて、絵本自体のコミカルな内容にもかかわらず、飛ぶということに何か大きな意味があるような気がしてしまうのです。
ウィーズナーの絵本では、文章を必要としないほどの緻密な絵が作品を支え、観れば観るほどに新たな発見がありますが、この作品では、次にまた何かが始まりそうだという期待感が、見終わった後のワクワクした気持ちへと繋がっていきます。
観れば観るほどの感激を、どうぞあなたも味わって下さい。(S.T)
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