宮西達也の恐竜シリーズの中の一冊です。
強いお父さんと優しいお母さんに育てられたプテラノドンの子どもは、やがてひとり立ちをする日がやってきます。しかし、飛ぶことができないうちに、暴れん坊で恐ろしいティラノサウルスに出会ってしまうのです…。
そして、プテラノドンの子がティラノサウルスに食べられそうになるところから、話しが展開していきます。本来ならば食べられてしまうはずのプテラノドンの子どもが、逃げる事なく怪我をしたティラノサウルスの看病をする姿に、ハラハラ・ドキドキしながら引き込まれていきます。
二匹は、お互いに違う恐竜だと知っていながらも、それを言わずに関わり、そしてお互いの本当の気持ちが伝えられないまま、離れてしまいます。強い者と弱い者が仲良くなり終わる…というストーリーが多い中、この絵本はハッピーエンドでは終わりません。それだけに言えなかった一言が心に残り、相手を思いやる気持ちが強く感じられるのではないでしょうか?
絵本を読み終えた後普段は「おもしろかった」などと感想を伝えてくる子どもたちが、この絵本を読み終えた後は、何かを感じたのか、余韻に浸るかのように静かになり、中には涙を流す子もいました。
心が温まり、優しい気持ちが残る絵本です。H&A)
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