11月のはじめ、さつま芋掘りでお世話になっている農家に、お礼を兼ねて園でとれた銀杏を持っていきました。いつも畑を作っている息子さんはお留守でしたが、お母さんが出られて「そんな丹誠されたものを」と言って受け取って下さいました。銀杏は畑の作物とは違い、自然に木になってくれるので、多少洗ったり干したりの手間はあるものの、丹誠などと言われ、かえって恐縮してしまったのですが、長年にわたって作物を作る仕事に取り組まれてきた方からそのような言葉を貰い、ちょっとうれしい気持ちになりました。
今回ご紹介する絵本は、0,1,2歳を対象にしていることもあって、実にシンプルな内容とつくりになっているのですが、丹誠を込めて造られているということが端々に感じられる絵本で、それぞれの野菜の色を際立たせるために、背景の色彩にも、微妙な変化が付けられています。
また、「ミニトマトや黄色いトマトもあるけれど、トマトといったらやっぱり僕みたいな奴でなくっちゃ」とでも主張しているかのように、堂々と表紙を飾っている真っ赤なトマトに始まり、ページをめくるごとに、子どもたちの好きな果物や野菜がこれまた堂々と登場してきます。
今の子どもたちはひょっとすると、本物のトマトやバナナと出会う前に、絵本の中で出会っているのかもしれないと思ったりもしながら、丹誠込めて作られた果物や野菜たちと絵本に、改めて感心したのです。(S.T)
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