幼稚園にいると、子どもたちからよく手紙をもらいます。といっても、郵便局を経由した正式なものではなく、朝、登園の際に「はいっ」と手渡されたり、他の子どもたちと遊んでいる時にひょいっとやって来て渡されたりするものです。多くの場合は、暗号のように文字が並べられてあるだけなのですが、私の顔らしきものが描かれていることもあります。また、折り紙の切れ端などが白紙のまま小さく折りたたまれ、テープでとめられているだけのことも少なくありません。子どもたちの持っている手紙のイメージでは、紙をたたんで相手に渡すということがきっと大事なんでしょうね。
先日も、知らない間に私の机の上に折り紙が小さくたたまれて置いてあり、誰が置いたのだろうかと思っていると、4歳の女の子が「手紙読んだ?」と言いながら部屋に入ってきました。それに引き換え私ときたら、年賀状が精一杯で、仕事以外の手紙なんてとんと書いた記憶がありません。子どもたちの爪の垢でも煎じて飲まなくては!ですね。
今回紹介する絵本では、主人公のひろこさんが、森で出会った動物たちに、その時の思いでを綴りながら「・・・はるになってもりにすみれがさいたら、このもみのきのしたでまっています」と手紙に書き、枝にさげていきます。
果たして動物たちに手紙は届くのでしょうか。動物たちから返事はくるのでしょうか。そして、すみれの花が咲いたら、ひろこさんは動物たちと会えるのでしょうか。
片山令子さんや片山健さんの描く絵本の子どもたちは、どうしてこんなに魅力的なのでしょう。絵本に描かれている季節は今とちょうど反対になってしまいますが、暑い夏にあっても、爽やかな気持ちにさせてくれる素敵な絵本です。(S.T)
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