うたた寝をして目を覚ますと一瞬私は何処にいるのだろうとか、寝坊をして起きる時間をずっと過ごしてしまってどうしようと思うことがあります。
コッコさんはまだ小さいので昼寝をよくするのでしょう。昼寝から目をさますと、家にはだーれもいません。時間は午後の3時半少し前。布団の脇には野球のグローブとボールやタンゲくんの絵本があり、隣の部屋には読みかけの広がった新聞。
日が差し込んでいる台所に行っても「だーれもいない」のです。
家の中には誰もいないので、サイズの大きなゴムぞうりをはいて庭に出てみると…犬のクッキーの小屋までが、からっぽ。風、雲、山鳩が「だーれもいないの コッコさん」と聞いてくれるのですがコッコさんが黙っていると行ってしまいます。風に舞っていた洗濯物も動かなくなり、寂しさが一杯になったそのときに、犬のクッキーの声が聞こえ、飛びついてくる犬とお母さんの声。
「コッコさーん おきてたのー」「ごめん ごめん コッコさん」。
次の画面 では、クッキーを払いのけ、半べそでお母さんに駆け寄るコッコさん。今まで我慢していたコッコさんは泣いて泣いて、最後にお母さんの胸に抱かれるところで終わります。 昼寝から目覚め、台所を通り、庭に出て、風と雲とを見、山鳩に気付いたときにお母さんが帰ってきたのです、ほんの10分程の出来事が1冊の絵本になりました。
裏表紙にはお母さんに抱かれたときに脱げたサンダルをクッキーが小屋の前にもってきているのが描かれています。
「置いてけぼり」という小さいときの経験をふっと思い出させてくれる一冊です。
うたた寝をして目を覚ますと一瞬私は何処にいるのだろうとか、寝坊をして起きる時間をずっと過ごしてしまってどうしようと思うことがあります。
別れと再開と言うのはちょっとオーバーですが……
具
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