スミレの移植

ある日の午後、まいったさんから子どもたちを送って行く途中、アスファルトの割れ目からスミレが咲いているという話を聞きました。以前から、園内のどこかに(たちつぼ)スミレを増やしたいと思っていましたので、この日が吉日と、この日の夕方、ガレージの一隅に咲いていたスミレの株分けを始めました。

粘りっけの強い畑の土に粉砕した大量の樫の葉を混ぜて軽くするとともに、無数に交差した株の根を丁寧にもみほぐして、6・7株に分けます。これを空の黒ポットに入れ、作り置きした土を株の周囲に入れます。簡単な作業ですが、せっかくの株分けがむだな作業にならないようできるだけ丁寧に扱います。

この作業を繰り返すこと1時間余、どうにか、40ポットばかりの株ができました。しかしながら、いかにも弱々しげな感じです。植え替えた根が土になじむようにと願いながら、早々にポットに水を注ぎます。

市販の鹿沼土などを使えば、もっと発根率も高いと思いますが、この園は“土は買わない、繰り返し同じ土を再生して”という変な理念を持っていますので、労力の割りには育ちが悪いのが難点です。

とは言え、“撒かぬ種は生えぬ”と申します。これらが根付いてくれれば、来年の入園式の頃には、園内のどこかに可憐な紫色の花を咲かせてくれることでしょう。子どもたちの目や心に美しいと感じる物が増えるのは嬉しいことです。

ただ一抹の不安は、これからの夏、入れ替わり水やりする先生方が過不足なく水をやってくれるかどうかが、一つの大きな問題です。

グリーンスポット