いざ五條へ

連休の一日、前日のNHKの夕方の番組で放映されました奈良県の五條市へ行ってきました。京都の人間は五條と聞くと、牛若丸と弁慶が争った五條通りを思い浮かべますが、ここは桜で有名な吉野の西にあります。連休中のこととて大勢の人出かなと思っていましたが、案に相違して人はちらほら、家に帰ってから見たテレビの人の山とは全く違い、のどかな田園風景でした。選んだ行き先に間違いはなかったと自己満足しています。

五條駅で降りるや、まずは伝統建造物保存地区である新町通りへ向かいます。その昔は、参勤交代などで紀州の殿様がお通りになったようで、かつ、そばを流れる紀ノ川の水運を活用して奈良や伊勢に物資を運んだ交通の要所です。それだけに利幅も大きかったのでしょう。立派で重圧な見物が並び、昔の繁栄を偲ばせます。前日のテレビにも出ていた無愛想なお饅頭屋さん(このお店は五條氏の名所案内にも出てきます)の雰囲気を味わおうと、焼き餅を一個だけ買います。案の定、この頃ではめったに見かけない無愛想さです。道端で腐葉土に米糠を混ぜておられたお年寄りとかいわしていますと、この辺の町屋の特徴は、2階の窓にお金をかけているとのこと、そこに美があるかどうかは別にして、聞いてみなければ分からないものだと感心したのでした。その他、隣の家からの貰い火(類焼)を懸念し、(隣家との境を仕切る)“うだつ”や、先日、鞆の港で聞いたと同じように、火はおおむね上に燃え広がるので、家の軒先に漆喰(しっくい)を塗り、防火対策を講じるなど、昔からの火事に対する意識の高さに感心したのでした。

私たちももう少し、防火・防災意識を高めなければならないと思ったものでした。

その他、五條と和歌山県の新宮市を結ぶ五新鉄道の実行されず終わった鉄道敷き跡のアーチ型の橋脚、吉野川の清流になびくこいのぼりの群れ、関西花の寺の一つ、金剛院のボタンやシャクナゲなどに目と心をリフレッシュさせてもらいました。