京の五條の橋の上

翌日の日曜日、講習が終わったのは12時過ぎでした。会館を出るや否や、河原町通りの筋向かいに何かお祭りのような“のぼり”が見えたのでした。

何事かと思い横断歩道を渡ると、それは市比売神社(ひな祭りの日に生身の人間がおひなさまの服装をするというので有名)の正装した福娘さんと(日本の古典楽器の一つ)“しょう”を持つ烏帽子(えぼし)をかぶった20数人の方々でした。この方々がお若い神官(禰宜)を先頭に五條大橋まで歩き、橋の上から豆まきをするというのです。即座にこの行列について行こうと思ったのでした。

左手に“弁慶と牛若丸”の像を見ながら、橋へ向かいます。橋のたもとに差しかかるや一行は立ち止まり、早々に福豆をまく用意をされます。リーダーの神官が随行してきた人達にも「豆をまきませんか」と誘われますが・・・・・・。

まこうとしている方々は正装した女性ばかりですので、「男でもいいのですか」とたずねますと、「いいですよ」の返事。五條大橋の上から豆をまくなど、これからもあり得ないと思い、立候補しました。

神官がおっしゃることは「私たちのお宮では『福は内、鬼は外』とは言いません。どのご家庭にも福が来るようにと願い『福は内、福は内』と言って願いながら投げます」とのことです。そのお言葉に従い、大声で「福は内、福は内」を連呼したのでした。

寒風吹きすさぶ橋の上のことですので、通る方々が少なかったのは残念でした。

また、「こんなことをしてもいいのかな?」の思いもありましたが、これが伝統行事なのでしょう。

その代わりにやってきたのはご存じ、冬に飛来する渡り鳥、都鳥ことユリカモメ、川面に浮かぶ豆を競って食べていました。10年ほど前までのこの時期、広野幼稚園の年長児が宇治の塔の島まで、ユリカモメに餌をやりに行っていたことを思い出しました。

なかなか、楽しかったひとときでした。