ミステリー番組で宿泊したホテルと再会

接戦が予想された春の選抜高校野球のベスト16の戦い、平安高校が青森代表、弘前光星学院を予想外の大差で下した夜、テレビの画面に思わぬ風景が展開されました。それは、宮沢賢治の出身地、盛岡の奥座敷、秋保(あきう)温泉のあるホテルを舞台にしたミステリー番組でした。

何年か前、このホテルには仙台のある幼稚園の公開保育に先立ち、金曜日の仕事がほぼ終わってから飛行機に飛び乗り、夜遅くに到着、宿泊したことがあったからでした。常識的に言えば、テレビ番組から流れる景色は、必ず日本のどこかにある訳ですから、何の不思議もないのですが、かなり離れた二度と行かないであろうホテルの間取りなどが眼前に展開されたことに、不思議と懐かしさを感じたものでした。

ストーリーは立派な医師に成長した三人の過去の行いが事件の発端、高校受験に失敗した夜、ふとしたいたずら心(?)で救急車や消防車の出動を要請したため、そのほぼ同時刻に、いろいろな場所で火事が大きくなったり、救急車の出動が遅れたりして尊い人命が失われました。小さな町であったため、起こった悲劇でした。後年、この事実を新聞紙上に掲載された回顧談によって知ったその関係者たちが復讐の思いをもつというものでした。若気の過ちとはいうものの、時として、他の人にとっては、許しがたいことも起こるかと、架空の話と断ってあっても、一時、言葉にはできないものがありました。

また、これらの三人の医師の名前が身近に存在する人の名前であったので、ストーリーの展開以外の興味があったのかも知れません。

このホテルに宿泊したのは、夜遅く到着し、朝も早い出発だったので、付近の景色や土産物なども見る時間もなかったのですが、この映像を通して、その空白を埋めることができ、埋もれ木細工などの名産品を知ることもできました。


お湯の質では、東北でも指折りと伝えられるこの温泉地と再会できたことに不思議な満足感を覚えました。