芋版に取り組んで

年中児がこのシーズンでしか取り組めない芋掘りを経験しますので、その流れで、ノーチャイムデーのある日、芋版作りに挑んだクラスがありました。

何の考えもなく、銘柄、“鳴門金時”の購入を依頼しましたが、これは大失敗でした。(芋)ハンコという概念を持っていますので、当然、芋は輪切りと言いましょうか、繊維の目に逆らって切ってあります。また、日が経っていますので、中身の繊維が引き締まっており、それを子どもが竹串やクギや彫刻刀で彫ることは至難の業だったのでした。

子どもたちは自分の彫った作品を画用紙にスタンプしてそれなりに満足そうでしたが、私としては満足しませんでした。もっと満足する方法があるのではないかと、その後、何人かの保育者たちと話し合いを続けたのでした。

一時間ほど経ってから、また、別の保育者たちと話し合っていたところ、川上先生から「(電子レンジで)チンしたら」という提案がなされました。“それは出色!”とさっそく試してみますと、子どもたちの手に負えそうな柔らかさになりました。もっとすばらしいことにおいしそうな匂いまでただよってきました。    大成功、ばんざ~い!

これからは蛇足ですが、次の日の朝、このブログを書いていて思ったことは、サツマイモを横に切らず、縦に切ればどうかということでした。サツマイモの繊維は縦に走っていますので、この方向には深く彫れるに違いないと推測したのでした。

さっそく、給食室から昨日の残りの物を取り出し試してみますと、推測どおりの結果が得られました。その後、昨日もどんぐりクラブに来ていたIちゃんにボールペンで彫ってもらいますと、縦の線はもちろん、横の線もいとも簡単に彫り込んでくれました。

改めて、保育者は世の常識に惑わされず、素材の研究をするべきであると思ったのでした。