長野県からの客人

土曜日ながら出勤し、来春の環境を華やかに草花を咲かせたいとの目的で、古土に樫の葉を混ぜていた時のこと、何げなく東門を開けると、一台のくるまが通りかかりました。運転手さんと目が合った瞬間、どちらもが「あっ」と声を出し合ったのでした。私にとっても忘れ難い卒園児の一人であり、成長されてからは保護者の一人だったからでした。

忘れ難いという意味は、この子ども(保護者)が、今を去ること40年ほど前、鉄棒で信じられない技を自ら生み出したのでした。これは子どもだからできる技で、下手をすれば背骨を折る危険性を伴っていると自分は受け止めました。

広野幼稚園におきまして、幼稚園から戸外に出るとか、他人に向かって砂を投げるなどの一般的な注意事項を除いて個人的に遊び方を禁止するということは、このとき、この技以来ありません。このような意味で書き残しておこうと思っていたのでした。

簡単に説明しますと、低鉄棒で腕を曲げたまま背面で反り上がるという技です。からだが柔らかい子どもだからこそできた技でしょう。これが高い鉄棒で腕を伸ばし背面から回るというのでしたら、体操選手なら比較的多くの方ができる大車輪という技でしょうが、低い鉄棒では背骨に損傷を与える危険性があると判断しました。以後、広野幼稚園でこのような技を見聞きしたことは一度もありません。

この日も大久保に在住する親戚を尋ねたあと、広野に足を運んでいただいたのでした。この再会の中で感動したことは、大人の会話の中に中学生のご子息も気軽に参加され、学校生活の一端を飾ることなく話されたことでした。卒園児のだれもが、このように気さくに大人との会話を楽しまれたらすばらしいだろうなと思いました。